海洋生物図鑑(仮)

ブログを使った海の生き物図鑑です。

カテゴリ: ウニ綱タコノマクラ目

標準和名:
 カシパン属の一種
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学名:
 Laganum laganum

分布:
 ・マレーシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア、タスマニア

見かけた場所:
 ・父島の土産物屋さんで、なんだかよくわからないものに加工されて売られていたものから取り外した。産地を聞いたところ、インドネシアあたりではないかとのこと。
 ・某水族館のウェブサイトで、フィリピン産のものが。30円で売られていたことがある。
 ・父島で売られていたなんだかよくわからないものの写真。(暖簾?)
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生息場所:
 ・水深0~34m、沿岸の砂地。

特徴:
 ・殻長6.5cm程度、生時は緑がかった灰色らしい。
 ・生殖孔は5つ。

生態など:
 ・沿岸の砂地に潜って暮らすらしい。

備考:
 ・殻の縁が分厚いところから、ミナミヨツアナカシパンと混同されていることがある。どちらも同じカシパン科であるが、本種はカシパン属で、ミナミヨツアナカシパンはヨツアナカシパン属である。
 ・日本に棲息するカシパン属には、フジヤマカシパンなどがある。

分類:
 棘皮動物門
 ウニ綱
 タコノマクラ目
 カシパン科
 カシパン属
 カシパン属の一種

画像:

 加工品から取り外したもの(その1)
 加工品なので口側にボンドの跡が残っている。
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 加工品から取り外したもの(その2)
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 口器の一部、タコノマクラのと似ている
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標準和名:
 マメヨツアナカシパン

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学名:
 Peronella orbicularis

分布:
 紀州田辺湾、フィリピン、台湾、西オーストラリア。
 図鑑での分布の記述が飛び飛びなのは、小さいのでいてもあまり気づかれていないためだと思われる。

見かけた場所:
 ・和歌山県:白浜(沈船近くの砂地)

生息場所:
 ・潮間帯~水深70m付近。
 ・サラサラ系の砂地に殻が落ちていた。

特徴:
 ・1~2cm
 ・生きているのは、鈍黄白色らしい。

生態など:
 ・不明。

備考:
 ・学名が、Peronella minuta となっている図鑑もあった。
 ・最初はヨツアナカシパンの子供だと思っていた。

分類:
 棘皮動物門
 ウニ綱
 タコノマクラ目
 カシパン科
 ヨツアナカシパン属
 マメヨツアナカシパン

画像:

和歌山県産
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標準和名:
 ハスノハカシパン

(三重県産)
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学名:
 Scaphechinus mirabilis

分布:
 北海道から九州、朝鮮半島、中国北部、カムチャッカ半島

見かけた場所:
 ・静岡県
 ・福井県:水晶浜
 ・福井県:三里浜
 ・三重県:香良洲海岸
 ・兵庫県:赤穂、淡路島
 ・鳥取県:鳥取砂丘
 ・宮崎県:長浜

生息場所:
 ・潮間帯から潮下帯。水深90mの記述も有り。
 ・潮間帯に棲むことから、無傷で浜に打ち上がる可能性が高い。

特徴:
 ・大きさ、6cmくらい。
 ・アダムスキー型UFOに少し似ている。やや横長。
 ・周口部は、真ん中付近にある。
 ・囲肛部は殻の後端の縁にある。
 ・花紋の先端は開く。生殖孔が4つ。
 ・裏側には葉脈のような溝。
 ・色は薄茶色。(生きている時)

生態など:
 ・潮間帯で潮干狩り中に見つけたという話をよく聞く。
 ・図鑑によると、深いところにもいるらしいが、ダイビングではまだ見たことがない。

備考:
 ・本州近辺の浜で一番殻を拾いやすい。花紋からタコノマクラ、生殖孔4つから、ヨツアナカシパンと混同されることが多い。
 ・形のバリエイションがかなり有り、ナミベリハスノハカシパン(Scaphechinus brevis)など、かつては別種とされていたものが、ハスノハカシパンのシノニム扱いになったりしている。
 ・現在ヨウミャクカシパン科にはハスノハカシパンの他に、ハイイロハスノハカシパン(Scaphechinus griseus)、ホクヨウハスノハカシパン(Echinarachnius parma)が記載されている。
 ・昔の図鑑に記載されていたウスハスノハカシパン(Scaphechinus tenuis)は近年の図鑑には登場していない。WoRMSではacceptedとなっているがどうなっているのか...
 ・近年、DNA情報を指標とした分類手法の発達や、水中撮影技術の発達により、魚類などでは多くの未記載種や隠蔽種だった種がどんどん新たな種として記載されている。
本種のように、食用にならないマイナーな生物群では最新の研究状況を知る機会はあまりないが、いずれはもう少し整理されて分類基準も変わってくるのではないかと予想する。
 ・本種はハイイロハスノハカシパンに似るが、ハイイロハスノハカシパンは囲肛部が反口側にくることで判別できる。
 ・福井で拾った以下の極小サイズの殻は、囲肛部が反口側に来ているので、ハイイロハスノハカシパンだと思ったのだが、サイズ別に並べると成長に伴って囲肛部が反口側から後端に移動しているようにも見える。要調査。
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分類:
 棘皮動物門
 ウニ綱
 タコノマクラ目
 ヨウミャクカシパン科
 ハスノハカシパン属
 ハスノハカシパン

画像:

 静岡県産
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 兵庫県、赤穂産
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 宮崎県産
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 福井県産(たぶん)
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 福井県産
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 兵庫県、淡路島産
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 福井県産
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標準和名:
 ミナミヨツアナカシパン

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学名:
 Peronella lesueuri (?)

分布:
 奄美諸島以南のインド洋、西太平洋の潮下帯

見かけた場所:
 ・和歌山県:江津良浜

生息場所:
 ・ヨツアナカシパンと同所で殻が見つかっているので、似た環境に生息しているのではないかと予想する。

特徴:
 【手持ちの図鑑に書かれていた特徴】
 ・ヨツアナカシパンに比べ、殻がやや分厚い。
 ・縁が分厚く、花紋の部分との間にゆるい段差がある。
 【この写真の標本の特徴】
 ・花紋の先端は閉じる。生殖孔が4つ。
 ・多角形ではなく、卵型に近い。
 ・囲肛部が、ヨツアナカシパンより若干大きい気がする。

生態など:
 ・ヨツアナカシパンと似た感じではないかと予想するが、どのように棲み分けているのだろうか?

備考:
 ・カシパン属の一種(Laganum laganum)などと混同されていることもあるようだ。
 ・海外の図鑑では、P.lesueuriとして、花紋の先端が開いて、縁が薄い特徴を持った標本写真が掲載されているものが複数ある。分類に混乱があると思われる。
 ・いまいち自信はないのだが、ここに掲載している写真の特徴を持ったものが、日本でミナミヨツアナカシパンと呼ばれているものだと思われる。
 ・詳しい人に、近年の動向を少しだけ教えてもらったので内容をメモしておく(雑談程度に教えてもらった内容を、自分の理解できる範囲で要約して書いているので、何か間違ってたらきっと自分のせいです)
  1. P.lesueuriは、いくつかの種をシノニムとして統合してできている。そういった経緯のせいか図鑑の特徴の記述や標本写真は、本によってまちまちで、どれが信用できるかがわからない。
  2. 本来のP.lesueuriが、どういう姿なのかを知るには、記載された時の論文やタイプ標本をチェックする必要がある。
  3. 日本でミナミヨツアナカシパンと呼ばれている種については、ヨツアナカシパン(P.japonica)と同種なのではないかという話が出ている。

 ・個人的な見解だが、日本でミナミヨツカナカシパンとよばれている種の形態的特徴は、どちらかというと、海外の図鑑でP.lesueuriとされている花紋の先端の開いた標本写真よりも、ヨツアナカシパン(P.japonica)に近いと思う。ただし、ヨツアナカシパンの標本とミナミヨツアナカシパンの標本を並べると、同種と言われると違和感を感じる程度の違いはある。とはいえ、同種内のバリエイションの可能性も否定できず、分類研究の進展を待つしかないところ。


分類:
 棘皮動物門
 ウニ綱
 タコノマクラ目
 カシパン科
 ヨツアナカシパン属
 ミナミヨツアナカシパン

標準和名:
 ヨツアナカシパン

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学名:
 Peronella japonica

分布:
 相模湾から九州、奄美大島

見かけた場所:
 ・鹿児島県:奄美大島(瀬戸内)
 ・福井県:敦賀
 ・和歌山県:日高町
 ・和歌山県:白浜
 ・和歌山県:紀伊大島

生息場所:
 ・潮下帯。
 ・水深30cmくらいから、20mくらいのところでも見かける。水深50mと書いた文献も有り。
 ・砂泥に浅く潜って生活する。
 ・同じ場所に集団をつくっているように思われる。

特徴:
 ・近縁種に比べて、やや薄っぺらくて軽い殻。
 ・多角形に近い。(十角くらい)
 ・花紋の先端は閉じる。生殖孔が4つなのでヨツアナカシパン。
  カシパン科で生殖孔が4つなのがヨツアナカシパン属、5つなのがカシパン属

生態など:
 ・昼間は砂泥に浅く潜っているようだ。
 ・近くに生息している気配がない場所で、小型の殻を単独で見かけることがある。良い場所に着底できなかった場合は早死にするみたい。
 ・ふわふわの柔らかい砂泥を好むようだが、それ以外の粗目の砂地にもいるようだ。
 ・カシパンヤドリニナが裏側に寄生していることがある。(以下の写真)

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備考:
 ・かつては、Peronella lesueuriLaganum decagonalis と混同されていたらしい。
 ・紀伊大島での観察結果。水深15m付近の個体はオレンジ、20m付近の個体は茶色の傾向。生息場所や食べ物による差異なのか。亜種的なものなのか。奄美大島の潮間帯で見た個体はすべてオレンジだった。
 ・海外の図鑑の標本写真を見てみると、ミナミヨツアナカシパンとの関係が微妙である。分類が混乱しているのかもしれない。

分類:
 棘皮動物門
 ウニ綱
 タコノマクラ目
 カシパン科
 ヨツアナカシパン属
 ヨツアナカシパン

画像:

和歌山県、紀伊大島産(水深15m付近の個体、赤色)
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和歌山県、紀伊大島産(水深20m付近の個体、茶色)
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鹿児島県、奄美大島産(水深30cm)
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鹿児島県、奄美大島産
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どこで拾ったか忘れたやつその1
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どこで拾ったか忘れたやつその2
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